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地球は回る、世界は動く

2012年01月01日 20:12

あけましておめでとうございます。

1月1日、最初の感想は、新美南吉の「おじいさんのランプ」です(リンク先は青空文庫です)。

これは童話です。
物語の舞台は日露戦争の頃、ということは今から100年くらい前でしょうか。かくれんぼをしていた主人公の東一君が倉から見つけてきた古いランプをきっかけに、巳之助おじいさんの昔話を聞くことになる、という筋立てです。

みなしごだった巳之助は少年の頃に町で、「花のように明るい」ランプに出会います。
村で行燈しか見たことのない巳之助はランプという言葉さえ知らなかったけれども、これを切っ掛けとしてランプ屋になることを決意します。

ランプとともに文明開化という言葉の意味を実感しながら、いつしか巳之助少年は青年へと変わります。
結婚し、ランプの下で夜に新聞を広げてみたことを切っ掛けに文字を学び、やがて書物も読むようになり、そして――

「生きる上で矜持を持つこと」、「変化を受け入れ一歩踏み出すこと」。
そして、「点と点がつながるということ」。
多くの自己啓発書や感動的なスピーチの中で繰り返されてきたテーマを、僕は受け取りました。

昨年、多くの人が自らのロールモデルとしたであろうスティーブ・ジョブズ。彼が2005年にスタンフォード大学卒業生に贈ったスピーチと、「おじいさんのランプ」は自分にとって地続きだった――この驚きこそが、一年の計を立てるに相応しい新年に取り上げたくなった理由です。

巳之助が生きた時代と同様に、今も地球は回り世界は動いています。
一休禅師の「正月は冥途の旅の一里塚」の言葉を待つまでもなく、新しい年と共に僕らは老いていきます。
巳之助が体験したことは、誰の身にも程度の差こそあれ必ず訪れると思うのです。

願わくば僕は、その時「自分とってのランプ」に対して自覚的でありたいです。

 * * * * * * *

さて、ここからは蛇足です。

10日ほど前に、紙の本を私的に電子書籍化する「自炊」を請け負うサービスを著作権法違反として作家7人が代行業者に自炊行為の差し止めを求める訴えを起こした、というニュースがありました。

ネット上でもかなり話題になり、作家たちの訴えに対し批判的な内容が多かったと記憶しています。僕自身、この訴訟に批判的だったので、そのような論調を無意識に選択していたのかもしれません。

僕は今日、おじいさんのランプを再読して思いました。
巳之助が今の時代に生きていたらどう行動しただろうか、と。

彼がランプ屋の後に選んだ職業を、あなたは覚えていますか。


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