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4.Selene

2012年01月07日 00:01

自分が読んだことのあるビジュアルノベルは、18禁の名作・話題作を中心に10作くらいだった。
君が望む永遠、CROSS†CHANNEL、Fate/staynight、キラ☆キラなどなど。自分が好きな作品を挙げるとこんな感じだ。

同人作品は殆どやったことがなかった。
二次創作とエロ、または過剰なまでの残虐描写というイメージだけが漠然と先行していた。

そんな中、iPhone3Gユーザーの僕が偶然出会ったのがTeam Eyemaskの、Selene ~エンディミオンの微睡み~だった。
世界初iPhone向け同人ノベルゲーム。アプリの説明でそう謳われていた。
世界初――その言葉だけで十分魅力的だった。

DLして、僕は更に驚くことになった。
そこには、センスオブワンダーの香りが満ち溢れていたからだ。
僕の好きなジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「たったひとつの冴えたやり方」と、このSeleneという作品は地続きだった。

ああ、こんな作品に会えてよかった。
その気持ちがいつしか、「こんな作品を作りたい」という欲望に変化するまでは、ほんの一か月もかからなかった。

 * * * * * * * 

自分が最初に考えたのは、既存アプリの助けを借りることだった。
ホームページさえ作ったことのない自分がスクリプトベースでのノベルエンジンを扱うのは、無謀だと考えたからだ。

着実に行こう。
そう自分に言い聞かせると、まず、当時コミックビューアをアプリで出していたトライフィート社にメールを出してみた。
この会社は、当時何件もの漫画をApp Storeで電子配信していた。

"趣味で小説を書いているアマチュアですが貴社のコミックビューアに興味がありメール致します。自作小説をapp storeで公開するために当該ビューアへの変換をお願いする場合、どの程度費用がかかるものなのでしょうか?
東方から提供するデータはword fileで10~12万字程度の文字原稿と、表紙画像(イラスト)となります。"


当時の僕のメールを抜粋するとこんな感じだ。
ビジュアルノベルというより電子書籍に近いイメージだった。

トライフィート社から返事はすぐ来たけれど、内容は絶望的だった。

「目安」として提示してもらった価格で費用を計算すると、ビルドとページ組込で数十万円。
とても思いつきで出せる金額じゃない。
しかも、これはアプリケーションのビルド用のプロジェクトファイルを作成してソースコードごとご提供するという場合であり、その後自分でiPhoneのDeveloper登録と配布用ビルドとAppleへの申請作業が必要だと書いてあった。

今読めば、その通りだと思う。
けれど当時の僕には、一つ一つの用語が何のことを言っているのか全く分からなかった。
僕は、肩を落としながらお礼のメールだけ返信した。

次のメール先は、とある青空文庫リーダーのアプリ作成者さんだった。個人開発者であれば、もう少しアマチュアにも門戸を開いてくれるんじゃないかと、思ったからだ。
返信メールを待つ間、もし具体化したら誰に挿絵を描いてもらおうかと、お気楽な想像をしていた。

3日後、返事は自分に現実を突き付けた。

・現在のところ、個別作品を別appにして配布する予定は無料/有料共に無い。
・appstoteでは単体作品での発刊は、ほとんど売れていない。
・ユーザにしても単体作品毎のappとなると、メニューアイコンが煩雑になりあまり好かれない。
そういった趣旨の内容が、丁寧な文章で書いてあった。

どれも正論だと思った。

日本のデベロッパーでは、このまま何件照会しても結果は変わらないかもしれない。
僕は、海外に目を転じて逆転を狙うことにして、iOrbi社に照会してみた。

ここは、App Storeを必死に探していて偶然見つけた先で、iPhone上で動く教育用のインタラクティブ絵本をリリースしている海外の会社だった。
さっそくその夜、メールを打った。

Hello!
I just learned your service by chance through app store recently.
I am a non-professional Japanese story writer and your AppInHand publishing service is interesting sounding to me.
I want my novel to be published on iPhone as an eBook but I’m not a kind of technical person and have no iPhone SDK developer’s license so far.

今回も返事は来た。

けれど幸運の女神は、まだ僕にほほ笑むのは早いと思っているらしかった。
重要なアップグレードを近日中に行う予定なので、それが終わってからまた連絡したい、と英語で書いてあった。

ちなみに、その後連絡はなかった。

 * * * * * * * 

追い込まれた僕は最後に、正攻法で突破するしかないと覚悟を決めた。
Seleneのノベルゲームエンジンの提供先として記載されていた、御影さん宛にメールを出すことにした。

2009年5月16日のことだった。


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